「心が少し疲れた日に、“ひとりで温泉”という選択をしてみた

　最近、なんだかずっと疲れてた。

　人との関わりの中で、気を遣いすぎたり、
　空気を読みすぎたり。

　“ちゃんとしなきゃ”って思えば思うほど、
　どこか心が重たくなっていった。

　たぶん、誰かのために頑張ることが癖になっていて、
　自分の気持ちは、ずっと後まわしになってたのかもしれない。

　そんな自分に、ふとこう問いかけた日があった。

　「今日は、自分を甘やかしてもいい？」

　そうして、有馬温泉へ日帰りのひとり旅に出かけることにした。
　予定も決めず、誰にも気を遣わず、ただ「自分を整える時間」を過ごすために。

　賑やかな街並みの中で、ひとりの自由を感じる

　有馬温泉の街は、思った以上に観光客で賑わっていた。

　笑い声や、誰かの楽しそうな話し声があちこちから聞こえてくる。

　以前の私なら、こんな人混みの中にいるだけで、
　「ちゃんとしなきゃ」「周りに迷惑かけないようにしないと」
　そんなふうに無意識に気を張ってしまっていたと思う。　

　でもこの日は、なんだか違った。

　「今日は誰にも気を遣わなくていい。」

　そう思えた瞬間、ふっと肩の力が抜けた。

　金の湯で、心も体もぽかぽかに

　街を歩いて少し体が冷えた頃、
　「やっぱり有馬に来たならここは外せないよね」と思い、金の湯へ。

　有馬らしい趣ある建物と、どこか懐かしい雰囲気の脱衣所。
　こういう”味わい”が、有馬温泉らしくて私は好きだ。

　浴槽に身を沈めると、
　茶褐色の湯がじんわりと体に染み込んでいく。

　有馬温泉の金泉は、鉄分や塩分を多く含んでいて、
　体の芯からぽかぽかと温めてくれるのが特徴。
　
　お風呂上がりは、肌がつるんとすべすべになって、
　体の内側までぽかぽかと温かい。

　「来てよかったなぁ。」

　誰かと共有するわけでもない。
　でも、自分の中でじんわりと湧き上がる満足感がそこにはあった。

　手打ち蕎麦とかき揚げで、小さな贅沢を味わう

　お風呂の後は、「土山人」でお昼ごはん。
　香り高い手打ち蕎麦と、サクサクのかき揚げ。

　特に海老の風味が絶妙で、ビールと合わせると、思わず顔がほころんだ。

　ひとりの食事は静かで、自分のペースで味わえる。
　それがまた、贅沢で心地よかった。

　街歩きと、ほんの少しの贅沢

　食後は、ゆっくりと有馬の街を歩いた。
　コロッケ、ミンチカツ、練り物。

　昼間からビールを片手に食べ歩きするのは、日常ではなかなかできない小さな贅沢。

　「やっぱり有馬って好きだな。」

　そんなふうに思いながら、久しぶりの有馬を楽しんだ。

　お香との出会い。そして、家でも続く癒し

　ふらっと立ち寄ったお香屋さんで、甘くてやさしい香りに出会った。

　どこか香水のようで、だけど落ち着くその香りが気に入って、私は迷わず買うことにした。

　家に帰ってから、そのお香を焚いてみると、あの有馬のやさしい空気が部屋いっぱいに広がった。
　今ではこのお気に入りのお香が、私にとって「今日を手放すスイッチ」になっている。

　夜に焚くと、自然と「今日はこれでOK」と思えるから不思議。

　甘やかすことは、ちゃんと整えることだった

　これまで私は、「自分を甘やかすなんて、逃げや怠けなんじゃないか」って思ってた。

　でも、有馬で過ごしたあの日が、そっと教えてくれたんよね。

　甘やかすって、怠けることじゃない。
　ちゃんと整えるための、大切な時間やったんや。

　ゆっくり歩いて、
　美味しいものを食べて、
　お湯に浸かって、
　誰にも気を遣わずに、ただ「今の自分」と一緒にいるだけ。

　それだけで、心が少しだけ軽くなる。
　そんな体験をして初めて、「甘やかすこと」の意味が、やさしく腑に落ちた。

　小さな旅で、やさしく自分を整えていく

　有馬から帰ったあと、
　また次はどこへ行こうかな？って考えてる自分がいた。

　遠くじゃなくてもいい。
　日帰りでふらっと行ける場所で、十分。

　私は最近、近くの温泉や癒しスポットを探すときに、
　行き先や空き状況がすぐにわかる便利なサービスをよく利用している。
　

　“行きたい”と思ったその気持ちを、
　スムーズに叶えてあげられるって、すごく自分にやさしい選択やなって思う。

　気にしすぎる“わたし”を、まるごと受け入れていく

　昔はよく思ってた。
　「もっと鈍感になれたら、もう少し生きやすいのに」って。

　でも今は、気にしすぎるわたしも、少しずつ好きになれてる気がする。

　人の気持ちに敏感で、小さな変化にも気づけて、
　誰かにそっとやさしくなれる。

　それって、“やわらかくて、強い”ってことやと思う。

　だからこそ、
　忙しさの中に埋もれてしまいそうな“わたし”を、
　ときどきちゃんと見つけて、やさしく整えてあげたい。

　たとえば、深呼吸をひとつ。
　ほんの少し、自分のための時間をつくるだけで、
　心ってふっとほどけていくから。

　「わたしを整える」って、何か特別なことじゃない。
　日々の中で、“自分を大切にする選択”をひとつずつ増やしていくだけ。

　そんな小さな積み重ねが、
　明日のあなたを、もっと軽やかにしてくれるからね。

　＊ ＊ ＊
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